アマディ20と応用時計学

今年の10月、ネゲヴ砂漠でミッションがスタートする。このミッションの目的は、将来の有人火星探査における制約条件や機会に関する情報を収集するために、アナログ環境を利用して、ミッション・アーキテクチャの開発を進めることだ。

アマディ20の実行には2つの関係者がいる。イスラエルの火星アナログ試験場のクルーと、オーストリアのミッションサポートセンターだ。ネゲヴ砂漠にある試験場の景観は、火星のマリネリス峡谷によく似ている。6名のアナログ宇宙飛行士たちは、4週間にわたって、オーストリア宇宙フォーラムが設定した4つの重要な目標に集中して取り組むのである。

•研究グレードの宇宙服シミュレーターを含む、ヒューマン-イン-ザ-ループを備えた機器とロボットビークルの同時展開を含む研究機器の動作を研究する

•生命探査や地球科学の技術を検証するためのプラットフォームや、高い状況認識力をもつロボット支援ツールの開発

• 惑星探査の可視化を促進する

• 現実的なミッションサポートの意思決定フレームワークを展開することで、火星への有人ミッションを管理するためのノウハウを進化させる

オーストリアのインスブルックにいるミッションサポートのメンバーを含め、6名のアナログ宇宙飛行士全員にアマディ20クロノグラフが支給される。フォルティスは、アナログ宇宙飛行士の一人で、微生物学のバックグラウンドをもつアニカ・メーリス氏(Anika Mehlis)にスポットを当てている。彼女は、ミッション中の時計の性能に関するフィードバックをフォルティスに提供する。

次世代の宇宙時計
フォルティスのアマディ20 クロノグラフは、宇宙開発と現代の時計の接点において、興味深い位置を占めている。NASAやROSCOSMOSの標準的な時計は、スピードマスター、スピードマスターX-33、フォルティス初のオフィシャル・コスモノート・クロノグラフ、フォルティスB-42の初期モデルなどがあるが、アマディ20は全くの別物だ。アマディ20は、オーストリア宇宙フォーラムと共同で開発された、火星での使用を想定したミッション専用の時計だ。スピードマスター(自動車レースと月面探査)のように、ある目的のために設計され、別の目的のためにも使用されるという時計ではないのだ。この時計は、エンドユーザーであるアストロノーツやコスモノーツを念頭に置いて、一から作られたものなのだ。

アマディ20の場合は、テーマに沿った視覚的な演出がふんだんに盛り込まれている。例えば、文字盤の右半分には同心円状のリングがある。これは火星の軌道とその軸を表している。ケースバックには、火星が次の大きな飛躍であることを示す”The Next Giant Leap”のエングレービングが施されている。

アマディ20を見ると、フォルティスが新しいスペースウォッチを楽しみにしていることが分かる。これまでのブランドにはなかったエッジが効いているのだ。その証拠に、商品サイトには、「月は20世紀のものです」(‘MOON IS SO 20TH CENTURY’ WATCH)という一文が書かれている
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